真っ白な館

思い付いたことを書きます。

感想

八鍬新之介『窓ぎわのトットちゃん』/北野武『首』観た

2024年は定期的に感想を残していきたい。 八鍬新之介『窓ぎわのトットちゃん』(2023) www.youtube.com 黒柳徹子の同名自伝小説の映画化。1940年~1944年頃に、自由が丘の学校に転校した「トットちゃん」=黒柳徹子の生活を描く。原作は未読。戦中ものとし…

「恋の魔法」としての等身大の冒険 『すずめの戸締まり』感想

前回の記事で書いたとおり、7日(月)に『すずめの戸締まり』を観てきたので、本記事はその感想である。 whiteskunk.hatenablog.com 以下ネタバレあり(どうでもいいが予告編に対するネタバレ感想を注釈に書いた→*1)。 www.youtube.com *1:予告観返してみる…

『リコリス・リコイル』におけるテーマと呼べそうなものに関するメモ

親離れの話であり、「自分なりの信念を持っていれば、その信念は社会正義と等価値になる」という話である。

プログラミングスキルがあまりない人に向けた、Stable Diffusion環境構築における補足

最近話題の画像生成ライブラリ「Stable Diffusion」。前情報ではmidjourneyよりも高精度とのことだけれど、エンジニアじゃない人からすれば、その二つに比べると明らかにとっつきにくい。実行するための環境は自分で用意しなくちゃいけないからだ。 特に面倒…

日記:1月1-3日

年も明けた事だし、新しい習慣を始めてみるか……ということで、この三が日の日記を書いてみる。

ある意味で完璧な「ファンサービス」映画ーー『マトリックス・レザレクションズ』について

公開初日の朝イチで観に行ってその日の夜には書き上げていた文章です。観終わった直後は満足しながら映画館を出たのだけれど、帰宅したあたりでモヤモヤが溜まり、結局こういう記事を書くことになった。ネタバレです。 www.youtube.com www.youtube.com

吉田博嗣「やすお」の秀逸なおぞましさについて

日記:どうでもいいが、はてなブログでの記事執筆方法は未だにはてな記法をえらんでしまう。本題。 comic-days.com

宮田眞砂『夢の国から目覚めても』について、あるいは現実の中で夢を見ること

「真摯」、という言葉がまず脳裡に浮かびます。「百合小説の、百合小説による、百合小説のための新たなる金字塔!」と帯で銘打たれたこの作品においてまっさきに出てくる主語が「百合」なのは言うまでもないのですが、その為その問題は一度棚上げして文をす…

日記:『アングスト/不安』、『ポゼッション』

日記はしばらくnoteに書くようにしていたんですが、noteはもう使いたくないという気持ちがあるのでこちらに移行します。

『FINAL FANTASY Ⅶ REMAKE』の何が良くて、何が嫌いで、何が誠実か

発売翌日からプレイしてドハマリしたあとブチ切れたのでどういう作品でどういう感想を持ったのかを一応書き殴っておきます。 本作の致命的なネタバレを全部丸っと書き起こしているので、プレイ済の人、あるいは「おそらく今後の人生でやることもなさそう」と…

2019年にネット配信で観た傑作・良作ドキュメンタリー16本

明けましておめでとうございます。 早速ですが昨年Netflix経由で観たドキュメンタリー作品のうち、面白かったものをまとめてみました。ランキングではありません。順位をつけることができませんでした。強いて言うなら『猫イジメに断固NO!: 虐待動画の犯人を…

チャック・パラニューク"Rant"読書メモ2(4-9章)

前回から1年以上開いてるのは勿論読むのを完全に中断していたからです。 文章にまとめるため読んだ箇所を再読してたら「えっこういう話だったの?」みたいな気づきというか理解せずに読み飛ばしていた箇所がゴロゴロ出てきたのでむしろ誤読があったら指摘し…

何かを語ることの難しさ、あるいは『ジョーカー』から見る社会反映論の落とし穴

とある記事に対するはてブでこうコメントした。 ジョーカー、「彼が狂うのには理由があったんだよ」と「狂っているやつは最初から狂っているんだよ」の両方を提示してるのが巧妙で、どちらか片方の立場でのみ共感すると落とし穴が待ってる映画だと思う。 要…

『天気の子』2回目を観にいった際のメモ一覧

初回の感想こちら whiteskunk.hatenablog.com 2回目を観た直後に、映画の冒頭からラストまでの時系列に沿って感じたことをざっと思い出してメモしたもの。「どの場面がどのシーンの前/後に配置されてるか」がアホみたいにすらすらと思い出せたので、ちょっ…

バランスのいい作品がラストで一線を越えてしまった!『天気の子』感想

『天気の子』を観た。二連続でこのレベルの作品が出てくるのマジ……? 自分は新海誠作品のなかで一番好きかもしれない。 映画『天気の子』スペシャル予報 ※以下、ネタバレに一切配慮していません。

Crypkoがゲームとして衝撃だった理由を説明する

はじめに www.itmedia.co.jp これのブコメに「ブロックチェーンかゴミかよ」「補助金もらえますね」「プロのイラストレーターには勝てない」みたいな的外れなコメントがついているのを見て、これ解説しないとダメだわということに気づいたので書いておく。 …

技法と構成におけるラテンアメリカ文学の極北——ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』

以前、TwitterでNetflix新興宗教ドキュメンタリーの話をしていたら「こういう面白い感想が書けるようになりたい」という反応をもらったことがあり、そう言われたこと自体は大変嬉しいけれど、実際のところ俺の感想が面白いわけじゃなくてその作品が面白いだ…

日記:宮沢賢治、『ヘレディタリー/継承』、宇多田ヒカルライブ、やが君ノベライズ

こういうかたちで書き散らしてるときは大体筆が止まっているとき。

完全新作・換骨奪胎・百合・続編――『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション2』感想

11月6日(火)の試写会に当たっていたので観てました。 ※以下、エウレカセブンシリーズのネタバレを大いに含みます。 映画 『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』 本予告60秒

京都SFフェスティバル2018参加レポート

タイトルの通りです。実は、9月後半に樺太旅行に行ってきたので本当はそっちのレポート記事を上げたいのだが、画像を上げる手間が結構大変なので後回し。

「実在の事件の再現ドラマ」という体裁の「イカれた怪作」——『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)感想

怪作である。怪作以外の何物でもない。 www.netflix.com

強烈な展開の裏に潜む物語の強固さ――『マガディーラ 勇者転生』感想(2009)

『マガディーラ 勇者転生』をアップリンク渋谷で観た*1。「そりゃ『バーフバリの原点』という売り出し方をされるわ」と思った。 ※以下、『マガディーラ 勇者転生』およびにバーフバリ二部作(『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』)のネタバレを…

実現した「死亡フラグ」の山と、突きつけられる「人災」の現実—『9.11 生死を分けた102分』(文藝春秋、2005)

先日あの9.11のテロから17年が経ったので……というわけではなく、7月末の誕生日に友人からほしいものリスト経由で贈ってもらったので、時間ができたから読んだのである。9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言作者: ジム・ドワイヤ…

チャック・パラニューク"Rant"読書メモ1(1-3章)

数年前に紀伊國屋の洋書セールで手に入れて以来全然読んでいなかったので、読書を再度おこなうことにする。 どこかの会社が版権をおさえてしまっていて、完全に翻訳が止まっているhttps://twitter.com/kiichiro/status/17967123242426370 という噂もあるパラ…

成熟を断たれることで成り立つ至高のジュブナイル――映画『ペンギン・ハイウェイ』感想

※本エントリは映画『ペンギン・ハイウェイ』のネタバレを含みます映画『ペンギン・ハイウェイ』 予告2

感想:ひとの醜さと美しさ、そして生きることの呪いと祝福――『みにくいモジカの子』

※本記事は18禁美少女ゲーム『みにくいモジカの子』についての感想記事です www.nitroplus.co.jp 『みにくいモジカの子』PV

日記:『犬神家の一族』、『ペンギン・ハイウェイ』、『DISMEMBER』

24日の夜に『犬神家の一族』(市川崑、1976)を観た。「湖から足が突きでた死体の映画」くらいの情報しか知らず、今これを書きながらWikipediaの基礎情報を観て「日本映画の金字塔」と呼ばれているのかということを知ったくらいだ。角川映画の第1作というこ…

『宇宙戦争』を観て『完璧な夏の日』を思い出した話

※以下、『宇宙戦争』(スティーヴン・スピルバーグ、2005)と『完璧な夏の日』(ラヴィ・ティドハー、2013/邦訳2015)のネタバレを含みます

円城塔について

togetter.com 私自身『文字渦』はまだ読んでおらず、今読んでいるのは『プロローグ』だ。5月末に『エピローグ』を読んでいて、その後『プロローグ』を読みはじめたが、なんだかんだで3ヶ月かかっている。そのようなスタンスの人間から見た限り、ここで出てく…

事実は映画より奇なり―4つのNetflixオリジナルドキュメンタリー作品

lfk.hatenablog.com 少し前に、これを読んだ。恥ずかしながら『テラスハウス』シリーズは未見だし、自分自身Netflixのドキュメンタリーをあますことなく観ているというわけではない。しかし、それにしても、Netflixはものすごいオリジナルドキュメンタリーを…