真っ白な館

思い付いたことを書きます。

【ネタバレなし】『すずめの戸締まり』IMAX先行上映会はよくできたマーケティングだと思う

『すずめの戸締まり』IMAX先行上映会が11月7日(月)に実施された。
自分も応募して当選したから観に行ってきたのだけれど、販促を考えるとよくできた仕組みなのである。
以下、作品の内容には一切触れずのネタバレなしでその辺の感想をまとめておく。
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「先行上映会」は「試写会」ではない

そもそも、この先行上映会、一般的な試写会とは完全に別物である。
『すずめの戸締まり』の一般披露試写会は10月29日(日)。それに対してIMAX先行上映会は11月7日(月)実施である。なお、Twitterを検索する感じだと、11月8日(火)にも全国で試写会が行われている模様。
そして、この先行上映会、どうやったら参加できたのかというと、新海誠監督の過去作品IMAX上映を観た人に先行上映会の応募コードが配られており、この抽選に応募し、当選した人が参加することができたのである。なお、上映館は全国のIMAX劇場のある映画館で、1人で3館まで希望を出すことができた。
自分は「TOHO新宿」「ユナイテッド・シネマとしまえん」「グランドシネマサンシャイン池袋」の順に希望を出した。とりあえず映画館としては新宿と池袋が一番環境がいいであろうと思われたからだが、流石に倍率がえぐそうだったのでとしまえんも応募したわけである。これが功を奏し、当選したのはユナイテッドシネマとしまえんだった。
面白かったのは、この先行上映会自体は有料で、上映館ごとに料金が変動していたことである。具体的には、としまえんだと2600円・TOHO新宿で2700円・グランドシネマサンシャインで2800円。普通は一般料金で1800円(TOHO新宿だと1900円)なので、かなり強気の価格設定である←一度こう書いたが、IMAXは通常料金にIMAX分の追加料金がかかるのを忘れていた。IMAX料金だと、としまえんは2400円・TOHO新宿は2500円・グランドシネマサンシャイン池袋は2600円である。これに手数料とコンビニでの発券料が330円上乗せされる。単発の特別イベントと考えれば妥当な金額設定だが、、発券料込みだと通常より500円程度高い。

有料上映会というクレバーな仕組み

さて、この先行上映会を知ったときの率直な感想は「金とるのかよ!」だった。いや、取っちゃ駄目なんてルールはもちろんないのだけれど、公開日前に観られると言われると、試写会的なものを想定するわけである(通常、試写会は一般応募でも無料になるはず)。そこがまず驚きではあった。
ただ、よくよく考えてみると、この仕組み自体はよくできているのである。
まず、試写会の規模をめちゃくちゃ大きくできる。一般披露試写会などはプロモーションの意図が大変大きいわけなのだが、無料でできる試写会の規模はたかが知れている。マスコミ向けに行う意味も大きい筈なので、東京なり大阪なりの大きな会場で2-3回が関の山だろう。それに対して、今回は全国の上映館でおこなっている。公開日前に、マスコミではない一般客を招待し、口コミでの前評判を高めるならそうするのが正しいでしょう。しかし全国で上映館を抑えるなんて無料ではまずできない。だからこそ、有料にしたのだと思う。
また、視聴者層の選別に「新海誠監督の過去作を2022年に映画館で観る人に応募コードを配布する」という方法を取ったのも巧い。そういう人は新海誠監督の熱心なファンと思われるので、チケット代が多少高めでも参加してくれる可能性が高い。実際自分は参加した。また、先行上映会をプロモーションの一環としてみたときに、参加してくれる視聴者は作品を褒めてくれる人であることが望ましい。
この「先行上映会を有料でやることによって上映会の規模を全国レベルに拡大し、それがコアなファン層への狙い撃ちにも繋がる」という辺り、手段と目的ががっちりかみあっていて素晴らしいと思ったのである。このレベルのプロモーションができるのは、『君の名は。』と『天気の子』でガッツリ大ヒットを飛ばした新海誠監督だからこそできることで、中々他の作品で真似できることではないと思うが、『すずめの戸締まり』レベルになるとこんな販促も可能なのかという感動があった。
思えば、『すずめの戸締まり』の小説版自体も8月24日と公開2ヶ月半前の発売と面白いことをやっているわけで、色々とプロモーション的に新しいことをやる場として活用してるのだろうな、といろいろ感心してしまった。
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余談

さて、肝心の作品の感想だけれど、色々書いてまとめてはいる。ただもちろん公開前のネタバレはよくないので、日記の公開日時を11月11日(金)の12時に設定しておいた読み返してみたら微妙な内容だったのでもう少しちゃんと書いてから公開する。ひとまず、ネタバレに怯えなくて済むのは安心である。
それにしても、Twitterのタイムラインにあと1人か2人くらい先行上映会参加者おるやろと思ってたら誰もおらずTLで一番の新海限界オタクが自分だったことに気づいたのは結構衝撃だった。