真っ白な館

思い付いたことを書きます。

日記:『アングスト/不安』、『ポゼッション』

日記はしばらくnoteに書くようにしていたんですが、noteはもう使いたくないという気持ちがあるのでこちらに移行します。
『アングスト/不安』と『ポゼッション』を観た。目当ては『アングスト/不安』。
前者の存在は知っていたんだけれどイマイチ映画館に行く踏ん切りがつかないなーって思っていたらいつの間にか公開終了してた。まあ縁がなかったかなーってそのまま忘れようとしていたところ、TLで「今年の映画ベストかもしれない」っていうコメントしてる人を見つけた。なので、じゃあ観るか……と思い直した次第。
12月でこれやってるところがキネカ大森(上旬まで)と新文芸坐(3日間だけ)、気づいたタイミングで観れたのが後者だけだったので見に行った。新文芸坐、完全自由席で一度入れば2本立ての映画両方観れるという古式ゆかしいスタイルを取っていてとても好感が持てる。

アングスト/不安


映画『アングスト/不安』予告編
『アングスト/不安』、10年の懲役をくらって出所した殺人犯が釈放初日に起こした凶行に関する映画。
なんだろうな、この映画、こう、サイケな映像が混じるとか、意味不明なカットが入るとか、そういった類いの「理解できないことの異常さ」みたいなものじゃないんですよ。「理解できる要素を、変な撮り方/映し方/音楽の流し方で描く」。それが不安になる。ほとんどのカットがハイアングル/ローアングル/主人公の固定カメラ/極端なアップみたいなアングルを多用したり、音楽がコンマ数秒単位でリピートしたり、支離滅裂なモノローグがずっと続いたり、映画好きな人ほど「見慣れない」要素がガンガン続く。そういった感じで殺人犯の一日にフォーカスする。とても稀有な映画体験だった。

ポゼッション

(予告編貼ろうと思ったけど予告編レベルでもネタバレ踏んで欲しくないので割愛します)
『ポゼッション』は前情報ゼロで観に行ったんですが、まあ怪作ですよ。
主人公が単身赴任から一年ぶりくらいに妻の元に戻ってきたところ、妻は自分を拒絶し、夫のいない間に不倫していたことを明かす。彼は妻となんとか意思疎通を図ろうとするのだけれど、彼女は心が不安定になっているのか、取り付く島もない。やがて彼女は夫を拒絶し流れのままに家を出て行くのだが、しかしどうやら、妻は不倫相手の男のところにはいないらしい。男は探偵を雇い、妻の動向を探るのだが……。
という感じで、崩壊する夫婦のギスギスと心理描写を楽しむ気の重たい嫌な話系だと思って観始めるわけなんですよ。でも、妻が裏で何をしているのかがわかってからのツイストがすごい。そしてその演技がヤバイ。なんというか、「精神が不安定になっている人っぽい」言動の演技に二重の意味が込められてるんですよ。登場人物たちが「彼女は心を病んでいるんだろうな……」といった感じのスタンスで彼女に接するのだけれど、視聴者はそれを観て、「あっ、これはっ、あ、あー!!!!」って感じで意味を理解してしまう。この認識のズレの使い方が上手い。ものすごく上手い。
主演女優のイザベル・アジャーニはこの作品でカンヌの主演女優賞取ったとのことなんだけれど、そりゃ撮るわ。怪演だもん。