日記:1月4日-2月6日
前回の日記から1ヶ月あいた。そういうこともある。
映画
1月の前半は映画館で映画を観たり面白いと評判の作品を観たりしていた。
ドライブ・マイ・カー
dmc.bitters.co.jp
村上春樹の原作は読んでいたが、2時間越えの映画として仕上げる中での外挿が見事だった。その分、時々村上春樹でよく見る言い回しが唐突に挟まってくるのが不思議な味わいを生み出してた。あと、濱口竜介監督は、『寝ても覚めても』でもそうだったが、車を使ったカットが毎回良い。白眉。
偶然と想像
guzen-sozo.incline.life
40分×3作の連作短編映画。『ドライブ・マイ・カー』よりも先に観たが、ただの会話で緊張感をずっと保って視聴者に集中を強いる力がずば抜けている。1話目のラストのツイストも良かったし、2話目の落とし方も救われない感じが見事だった。
マンガ
大学サークルの先輩は定期的に漫画コンペを開いてくれる。自分がオススメの漫画作品3作を持ち寄って互いにプレゼンしあうだけの集まりである。他のひとと作品が被ったら減点なのだけれど、これまで作品が被ったことは一度もない。驚異的というか、それだけ世界におもしろいマンガが溢れているということだろう。
オンライン・オフライン入り混じっての開催だった。結果は以下の通り。
自分が紹介したのは以下3作。
ルーザーズ
www.futabasha.co.jp
『こづかい万歳』『日本をゆっくり走ってみたよ』などで有名な吉本浩二による伝記漫画。青年漫画雑誌の創生期に漫画アクションを立ち上げ、モンキーパンチやバロン吉元を見出した編集長の物語。
吉本浩二という漫画家さんは本人の経験や考えを明け透けに書く、それがこの方の魅力であり癖でもあるのだけれど、その点『ルーザーズ』はその癖が登場人物の癖として昇華されているので、大変面白い。本人の自我を抑制していれば癖も消えるという好例。
鬼ゴロシ
www.nihonbungeisha.co.jp
妻を殺され自分の頭を吹き飛ばされ、殺人の濡れ衣を着せられて寝たきり状態で刑務所に十五年間服役していた男が、自分を陥れた地方を牛耳る闇組織に復讐をはじめる話。
とにかくハッタリが効いてる。冷静に考えて15年間実質的な植物状態にいた人間が目覚めてすぐに大立ち回りができるわけない、しかし本作はそれを絵面の格好良さだけで一気に押し切ってしまう。治安出動を長引かせるために知事の乗る飛行機を爆破して空から百人単位で人が振ってくる光景、マジでやばいですからね……。
話がどんどんインフレしていくのもよい。地方を牛耳る闇組織とのバトルものかと思いきや、その地域を更に上から支配する世界的な企業グループとの三つ巴になり、最新話近くだと世界で暗躍する暗殺チームがその地方にやってきたりする。そうはならんやろ。なっとるんよ。
児玉まりあ文学集成
to-ti.in
文学部に所属する女子高生児玉まりあと、文学部に入りたい笛田くんとの何気ない日常を描く文学ラブコメ。
このページ見た時「は???????」って声に出しちゃいましたからね。独特のテンポで綴られる、髪の長い文学少女とのとりとめのない会話。こんなのエモくないわけないじゃないですか。
「そんな都合のいい文学少女いるわけないだろ」、そう思った貴方は正しい。どうやらこの髪の長い文学少女、実際は存在しないらしいです。
主人公の笛田くんは目が悪いので、想像力を用いて曖昧な世界を想像しているのです。だから私たち読者が見ている児玉さんは想像の産物であり、しかし私たちはその姿しか認識できない。
この、現実と想像の境目のなさが良いのです。描かれているものが現実なのか想像なのかが問題にならない、ある意味で幻想文学・マジックリアリズムと言ってしまってよいでしょう。
あと、漫画コンペで他のひとから教えてもらったんですが、児玉まりあの元ネタはボルヘスの奥さんであるマリア・コダマらしいです。
日常
仕事が爆発してすべての気力が奪われていた。
詳しくは書かないし書けないが、1月末は仕事をしながら寒いからとハイバックチェアに座った状態で羽毛布団を被って作業するのをやっており、結果自宅にいながら椅子で寝落ちするのを3日間繰り返していた。自宅にいるのに3日振りに布団で寝たときの快楽、ちょっとやばかった。
衝動買い
そういう状態だったので、昨月の中頃にこういうのをやった。
【ゆる募】面白い本
— Mamoru Tanibayashi (@notfromSakhalin) 2022年1月17日
(リプライもらったら無条件で買う)
(うそ、1冊2000円超える場合は買うタイミング調整する)
(18日9時まで)
とりあえず買った。こう、気力が死んでいるときは外部刺激を得ないと全然回復しないんですよね。