真っ白な館

思い付いたことを書きます。

技法と構成におけるラテンアメリカ文学の極北——ホセ・ドノソ『夜のみだらな鳥』

以前、TwitterでNetflix新興宗教ドキュメンタリーの話をしていたら「こういう面白い感想が書けるようになりたい」という反応をもらったことがあり、そう言われたこと自体は大変嬉しいけれど、実際のところ俺の感想が面白いわけじゃなくてその作品が面白いだ…

日記:宮沢賢治、『ヘレディタリー/継承』、宇多田ヒカルライブ、やが君ノベライズ

こういうかたちで書き散らしてるときは大体筆が止まっているとき。

「現実」と「フィクション」のゲシュタルト崩壊——写楽街『心霊×カルト×アウトロー』(2018)

一時的にNetflixからAmazonプライムビデオに切り替えていて(そういった解約処理が簡単にできるのはありがたい。気が向いたときに再契約する意欲がわく)、たまたま眼に入った『心霊×カルト×アウトロー』が面白そうだったので観てみた。 ダークホースだった…

完全新作・換骨奪胎・百合・続編――『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション2』感想

11月6日(火)の試写会に当たっていたので観てました。 ※以下、エウレカセブンシリーズのネタバレを大いに含みます。 映画 『ANEMONE/交響詩篇エウレカセブン ハイエボリューション』 本予告60秒

京都SFフェスティバル2018参加レポート

タイトルの通りです。実は、9月後半に樺太旅行に行ってきたので本当はそっちのレポート記事を上げたいのだが、画像を上げる手間が結構大変なので後回し。

「実在の事件の再現ドラマ」という体裁の「イカれた怪作」——『ジョンベネ殺害事件の謎』(2017)感想

怪作である。怪作以外の何物でもない。 www.netflix.com

強烈な展開の裏に潜む物語の強固さ――『マガディーラ 勇者転生』感想(2009)

『マガディーラ 勇者転生』をアップリンク渋谷で観た*1。「そりゃ『バーフバリの原点』という売り出し方をされるわ」と思った。 ※以下、『マガディーラ 勇者転生』およびにバーフバリ二部作(『バーフバリ 伝説誕生』『バーフバリ 王の凱旋』)のネタバレを…

実現した「死亡フラグ」の山と、突きつけられる「人災」の現実—『9.11 生死を分けた102分』(文藝春秋、2005)

先日あの9.11のテロから17年が経ったので……というわけではなく、7月末の誕生日に友人からほしいものリスト経由で贈ってもらったので、時間ができたから読んだのである。9・11生死を分けた102分 崩壊する超高層ビル内部からの驚くべき証言作者: ジム・ドワイヤ…

チャック・パラニューク"Rant"読書メモ1(1-3章)

数年前に紀伊國屋の洋書セールで手に入れて以来全然読んでいなかったので、読書を再度おこなうことにする。 どこかの会社が版権をおさえてしまっていて、完全に翻訳が止まっているhttps://twitter.com/kiichiro/status/17967123242426370 という噂もあるパラ…

成熟を断たれることで成り立つ至高のジュブナイル――映画『ペンギン・ハイウェイ』感想

※本エントリは映画『ペンギン・ハイウェイ』のネタバレを含みます映画『ペンギン・ハイウェイ』 予告2

感想:ひとの醜さと美しさ、そして生きることの呪いと祝福――『みにくいモジカの子』

※本記事は18禁美少女ゲーム『みにくいモジカの子』についての感想記事です www.nitroplus.co.jp 『みにくいモジカの子』PV

日記:免許更新、国会図書館、『ペンギン・ハイウェイ』連載版、宗教法人名簿、参議院見学

運転免許の更新をするついでに、会社を1日休んだ。新宿の運転免許更新センターに行こうか迷ったが、混んでいるという情報があったので、神田の方に行くこととした。実際、神田だとほとんど待ち時間もなく、サクッと取得ができた。とはいえペーパードライバー…

日記:『犬神家の一族』、『ペンギン・ハイウェイ』、『DISMEMBER』

24日の夜に『犬神家の一族』(市川崑、1976)を観た。「湖から足が突きでた死体の映画」くらいの情報しか知らず、今これを書きながらWikipediaの基礎情報を観て「日本映画の金字塔」と呼ばれているのかということを知ったくらいだ。角川映画の第1作というこ…

『宇宙戦争』を観て『完璧な夏の日』を思い出した話

※以下、『宇宙戦争』(スティーヴン・スピルバーグ、2005)と『完璧な夏の日』(ラヴィ・ティドハー、2013/邦訳2015)のネタバレを含みます

ドキュメンタリーシリーズ『ベトナム戦争の記録』は現実認識の解像度が跳ね上がる

以前この記事でも書いているように、ここ半年ほどはずっとドキュメンタリー番組にはまっている。観るのはNetflixで配信されているものなのだが(他を観ない理由は特にない。契約しているのがNetflixだからです)、今回観たのは『ベトナム戦争の記録』(ケン…

円城塔について

togetter.com 私自身『文字渦』はまだ読んでおらず、今読んでいるのは『プロローグ』だ。5月末に『エピローグ』を読んでいて、その後『プロローグ』を読みはじめたが、なんだかんだで3ヶ月かかっている。そのようなスタンスの人間から見た限り、ここで出てく…

Crypkoを遊んでみた

konogi.sub.jp squeuei.hatenablog.com プレイしました。やってみた感想は上記お二方のブログ同様「すげえ」です。 ブロックチェーン技術を利用して「仮想通貨の取引履歴とカードを結びつけて、仮想通貨の取引=カードの売買・生成」とするというのはうまい…

SFセミナー2018『百合との遭遇 宮澤伊織インタビュー』講演メモ

講演メモです。 すべての発言を余すことなくメモできた自信がないので、詳細なやつは大野万紀さんのレポートやTogetterのまとめといった各種リンクを踏んだり、早川書房のTwitterにリプライ飛ばしたりしてください。 見出しはブログ主が勝手につけました。ま…

事実は映画より奇なり―4つのNetflixオリジナルドキュメンタリー作品

lfk.hatenablog.com 少し前に、これを読んだ。恥ずかしながら『テラスハウス』シリーズは未見だし、自分自身Netflixのドキュメンタリーをあますことなく観ているというわけではない。しかし、それにしても、Netflixはものすごいオリジナルドキュメンタリーを…

デイヴィッド・フィンチャー『マインドハンター』(2017/Netflix)

公式HPはこちら。 Netflixオリジナルシリーズ『マインドハンター』2017年10月配信決定 ※以下、『マインドハンター』の展開に関する大きなネタバレ、および『ソーシャル・ネットワーク』『ゾディアック』の説明として一部の展開に関するネタバレが文中に含ま…

エドガー・ライト『ベイビードライバー』(2017)

映画「ベイビー・ドライバー(原題)」日本版予告 ᵔᴥᵔ Kool ※英語版の有志私家翻訳版 公式HP 以下ネタバレ

円城塔+田辺青蛙『読書で離婚を考えた。』(幻冬舎、2017)

読書で離婚を考えた。 (幻冬舎単行本)作者: 円城塔・田辺青蛙出版社/メーカー: 幻冬舎発売日: 2017/06/21メディア: Kindle版この商品を含むブログを見る

ガブリエーレ・マイネッティ『皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ』(2015)

www.zaziefilms.com イタリアのアメコミ(スーパーヒーロー)もの。事前知識として、「カモッラ」とはイタリアナポリの大きなマフィアだということは知っておくといい気がする。 ローマの片隅で暮らす冴えないチンピラが、ある日超常的な身体能力を手に入れ…

かるい読書会第1回(ジョン・ヴァーリィ『汝、コンピューターの夢』)に参加してきた

汝、コンピューターの夢 〈八世界〉全短編 (創元SF文庫)作者: ジョン・ヴァーリイ出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2015/10/13メディア: Kindle版この商品を含むブログ (2件) を見るbiotitさんが主催した読書会。参加者は9名で、各人ざっくばらんに感想…

3月の東北旅行1日目

前置き 3月17日に退職し、有休・振休が二週間ほどたまっていたので、せっかくだから旅行に出た。 計画・準備 元々大阪出身・大阪在住→東京就職という感じの人生だったのと、人が少ない場所にいきたいという思いが募っていたので、行き先は東北に決めた。 計…

レイナルド・アレナスの邦訳一覧

ふと、棚にあるレイナルド・アレナスの関連書籍を眺めていたところ、意外と世に知られていない翻訳済短編があることに気がつく。 wikipediaにも載っていないようなので、自分の手元にある資料でまとめられる限りの情報をまとめておく。 なお、以下のうち『夜…

レイナルド・アレナス『夏の色』について

レイナルド・アレナス『襲撃』を再読している。レイナルド・アレナスが「キューバの隠された歴史」を描くことをテーマにしたペンタゴニア(苦悩の五部作)の第五部である。 テーマや主人公のモチーフ的なものを一貫させていることから五部作とされているが、…

5月7日 文学フリマ東京

数年前から知人を誘って「海外文学好き好きボーイズ」というサークルを運営しており、ここ一・二年はサークル参加していたが、今回は転職やその他諸々のプライベートで忙しいため一般参加となった。とはいえ、購入したのは3冊だけだ。1:ゆめみるけんり「ゆ…

長江俊和『放送禁止 邪悪なる鉄のイメージ』感想

放送禁止 劇場版 洗脳~邪悪なる鉄のイメージ~ [DVD]出版社/メーカー: ポニーキャニオン発売日: 2015/02/18メディア: DVDこの商品を含むブログ (4件) を見るAmazonを貼ってるけどYoutubeで購入すると楽。 どんでん返しか用意されており*1、素直にみれば大変満…

湯浅政明『夜は短し歩けよ乙女』感想

およそ最高の映画であった。 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 作者: 森見登美彦 出版社/メーカー: KADOKAWA / 角川書店 発売日: 2012/09/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る