真っ白な館

思い付いたことを書きます。

『天気の子』2回目を観にいった際のメモ一覧

初回の感想こちら

whiteskunk.hatenablog.com
2回目を観た直後に、映画の冒頭からラストまでの時系列に沿って感じたことをざっと思い出してメモしたもの。「どの場面がどのシーンの前/後に配置されてるか」がアホみたいにすらすらと思い出せたので、ちょっとした台詞や映し出される映像・場面のほとんどにストーリーライン上の必然性がある。
なお、映像から推測・判断できる情報だけを書き起こしたので、小説版を読めばわかる情報と齟齬があるかもしれませんがご了承ください。
※2019/07/31 8:40:ブコメ指摘受けて一部表現変更。id:type-r さんありがとうございます。

小説 天気の子 (角川文庫)

小説 天気の子 (角川文庫)

以下、重大なネタバレを含みます。

鑑賞メモ

  • 家出をする理由を『キャッチャー・イン・ザ・ライ』だけで説明するのめっちゃくちゃ強いでしょ。 
  • 帆高が船の上で雨に打たれるシーンだけ「どうして濡れに外に出たのか」の意図がわからなかった。回想では「晴れ間を追いかける」描写があったので整合性がないように思う。
    • 雨の様子が変なのと須賀さんに助けられるというストーリー上の都合くらいで、ここだけはあまり大きな意味がない気がする。雨に打たれるのが楽しいと感じる少年、子供っぽさの現れ、くらい?
  • 序盤、新宿の大ディスプレイで銃刀法違反で柴田容疑者が検挙されるニュースが出てる。
  • ネカフェの中で見る収支記録が6月12日はじまり。初盆の数日後(2日後か?)で終わるので、およそ2ヶ月くらいの話?
  • 「節約しなきゃ」のあとにネカフェを出て町中を歩き回ってる。雑居ビルで寝てるの、多分あれ野宿しようとしてるんだな。それで、銃を拾ってからマクドナルドに行って陽菜からご飯をもらう。
    • 3日間夕飯が飲み物だけと言ってるので、「節約しなきゃ」からマクドのシーンまでで多分3日経ってる
  • 雨宿りしてる雑居ビルのスナック的看板に「母性」って書いてるの卑怯でしょ。サブリミナル効果じゃねえんだぞ
  • バスに乗って須賀の事務所に行く際、凪を見かけるわけだけど、ここで出てくる女子小学生2人のうち片方は後半で元カノになってる。このあとで別れたんだな……。
    • 名前がアヤネとカナなのは声優名から持ってきたギャグなんだけど、刑事二人も「高井刑事」と「安井刑事」なんだよな。脇役のネーミングストレートすぎでしょ。
  • スマートニュースっぽい画面で出てくる「裏世界に繋がるエレベーター」。『裏世界ピクニック』!
  • アシスタントとして占い師に話を聞きにいったの伏線かとおもいきやそれほど大事な伏線じゃない。
  • 100%の晴れ女の聞き込み場面で伏線あり。女子高生が「妹の友達に〜」って言ってる。姉ではなく妹。
  • 水商売に体験入店させるの「う〜〜〜〜大人の世界としてのリアリズムそういうところで出すの……」という気持ちになる、がこの辺の処理がうまい。「お金がないから働く」の意味合いが18歳と15歳では結構異なる。
  • 逃げ出したあとに嫌悪感向きだしにして去って行くと思いきや、やっぱり慰めにくるの基本的に陽菜はやっぱり母性の人なんだな……
  • 「うーんと、来月で18」という台詞が巧い。 「15歳を18歳とごまかす」 が真意で普通年齢は考えこまないのだけど、「17歳と言おうとして『来月で18歳』と言いかえた」ならギリギリわからなくもない。この、「うーんと」と「来月で18」の組み合わせ。
  • 年齢設定、年下が年上ぶること自体が背伸びの表れという構図が面白いな
  • ウェブサイトのラフ書ける高校生めっちゃ優秀なのでは……?
  • 夏美の「こんなとこ腰かけよ」という台詞は姪設定での叙述トリックスリードのいいアクセントになってる。初見の感想は「愛人ってめっちゃドライな考えするんだな……」、姪であることを理解した上でみると「こいつおじさんにめっちゃ辛辣だな……」。
  • 叙述トリックスリード、どちらもリアリズムの意味合いを塗り替える効果なんだな。愛人じゃなくて姪でした。高校生じゃなくて中学生でした。二重でやってる。
  • 家まで行くシーンで映る裁縫のミシンとか観るかぎり、服を自分で作ってる可能性すらある。服装が簡素なことの意味。
  • 特に説明もなく「帰りたくないんだ……」というの、陽菜の視点から見たら甘ったれてるようには見えるわけで、その辺りの処理の仕方はちょい微妙。「年上が許容してくれる」で場面としては誤魔化せてるけど。
  • 陽菜、学校に行ってないのでは? 制服のシーンラストにしかない
  • 陽菜、さりげなく帆高にボディタッチしとるやんけ……
  • お台場から「晴れた!」って言ってるカップルは『君の名は。』に出てきてたか
  • ジャケット着て六本木ヒルズに行く場面も絶妙で、あれ一つで「仕事がうまくいってるっぽい雰囲気」を見せつつ花火につなげる。
  • それにしても六本木ヒルズ屋上で花火みるシーンうまい。そこからの場面転換も。
  • 言の葉の庭』との比較になるんだけど、雨が地面で跳ねる描写が全体的に固いんだよな。よく跳ねる。
  • この辺の流れがちょっと記憶が曖昧で、花火大会→天気の様子がおかしくなる→祖母との面談→たばこ吸いかけてやめる の流れだったっけか
  • 世間の理不尽さみたいなものが須賀さんにとっては妻の実家という構図
  • 煙草って時間経つとクッソ不味くなるから古いものはまずくて吸えないものだと思っていたが、禁煙何度か失敗しているのか? でなければ机の中に「すぐ吸おうと思えるたばこ」は入ってないでしょう。
  • ここで出版社のひとからのわずかな会話でさっと企画案のノートに取り消し線を書ける須賀さんめっちゃ仕事できる人。仕事ができなかったら一人で編プロは回せないし、まあキャバクラで飲み歩く金なんてないわな……
  • 月給3000円、退職金5万円を際立たせる効果。夏美が就活に心削られてるシーンも「羽目を外す」ことへの伏線
  • 瀧君の出てくるシーンだけは苦肉の策というか、あの場面だけはサービスシーンで持たせるしかなかったイメージがある。あの場面で初盆の話・次で仕事が最後という話・プレゼントの話をして次につながるわけだけどその会話相手は見ず知らずの人にならざるをえなくて、それを誤魔化すための前作の登場人物なわけだ
  • スカウトに聞き込みするシーン、「未成年って知らなかった」という台詞も伏線。
  • 刑事さん同士の会話からヤフー知恵袋での質問投稿→凪との会話→指輪購入 という流れ、シームレスなのでびびる。
  • 須賀の娘さんと遊ぶシーン、「年齢に陽菜がこだわってる」「夏美が姪というのがわかるこ」「夏美から陽菜に人柱のことを伝える」など何気ない話題で諸々の話の要素が詰まってる
  • 須賀の娘と遊んでから田端まで送っていくシーンが中盤より少し前。つまり後半の1時間は1日の話。最初の2ヶ月を序盤の1時間に詰め込み、後半の1時間は1日だけの話なんだな。それで最後にいきなり3年飛ぶ。
  • 陽菜の体が透けてることがわかるシーンで、「陽菜が夏場にパーカーを着てる」ことの理由が一気にわかる。いつから長袖のパーカー着てるのか要確認。
  • ここも無駄がなくて、回想→警察がくる→須賀の車の中で退職の話→二人の部屋に戻ると出て行こうとしている、という転換に無駄がない。
  • 須賀さんが「娘の引き渡しを申請してて微妙な時期だから警察沙汰は避けたい」と言ってる以上、ラストで娘とはまだ一緒に暮らせてないんだな。払った犠牲は世界だけではない。
  • ここで一度「わたしたちは大丈夫」という台詞が陽菜から出てるんですよね。そこに帆高は含まれない。
  • 池袋での雪、秒速かよと思った。
  • 雷落としちゃうシーン、あそこは完全に帆高が前半でやったことのリフレインなんですよね。幼さ・向こうみずさという意味で二人が対等であると提示する。
  • 凪先輩が「それかっけえじゃん!」って言う部分で年頃の子供っぽさを出すの絶妙ですよね。
  • フォーチュンクッキーを踊れる凪先輩。そりゃもてるわ……
  • 23:59から0:00になって日付が変わり指輪を渡すところ、24時をすぎると魔法が解けるというベタなネタである。そこから「誕生日プレゼントを渡す」→「バスローブ脱ぐ」→「陽菜さんをみてる」→「勢いのままに左手薬指に指輪をつける」、この辺の流れめっちゃ自然。次のシーンにつなげる手際がうまい。
  • 須賀が寝言で奥さんの名前を出し、夏美が家族三人の姿を回想するシーン。あれだけで事務所が元々奥さんと二人でやってたものというのを一瞬で示す。あと夏美の罪悪感の描写もか。それが逃亡補助につながる。。
    • K&Aプランニングが「Keisuke&Asuka」なのに気づいて涙ぐんだ。
  • 陽菜、「ひとを笑顔にする」のが嬉しいというモノローグのあとに、「帆高が泣かないでほしい」を消える前の望みにしてるんだな。帆高を笑顔にするために世界を晴れにする。
  • リーゼントの刑事が終始帆高にいらついてるの、視聴者の感情を処理する効果があって絶妙。つまり、無力な帆高に一定視聴者は絶対いらつくはずなんですよ。帆高が一貫して子供であることに対する読者の感情を担保する役割を担ってる。そういう細かな処理がいきとどいている。
  • 夏美さんが逃走手伝うところで「白バイ隊員になろうかなー!」ってヤケクソ気味に言ってるのは就活部分からの応答。この辺の細かな描写の回収が巧い。
  • 刑事さんが須賀の事務所にきて会話するシーンで柱に娘の身長の記録が書かれてるの、2回目に観たらじわじわダメージを受けた。そもそもあの事務所は家族三人で住んでたんだよ……あの事務所はは家族三人の幸せな記憶の名残なんだよ……。
  • 走るうちに帆高の走り方がみっともなくなっていくの好きなんですよ。ヒロイックな話ではない。どこまでも泥臭い。
  • 須賀が廃墟に現れて説得するシーン、あの辺のディスコミュニケーションがやっぱり絶妙。
    • 絶対おまえのことを邪魔するマンではない。あくまで須賀は大人として本当に帆高を心配してるし、警官を説得しようとして大人として振る舞おうとがんばっている。
    • その須賀の背中を押す/タガを外させるのは、帆高の「もういちど大事なひとに会いたいんだ!」という叫びなんですよ。妻と死別した人間にとってそれは響くであろう。
    • すぐに警官を殴るのではなく、警官が帆高を捕まえたタイミングでキレる。須賀さんは基本的に共感の回路がはっきりしてる人なんだな。「大事な人に会いたい」という気持ちを無碍にする警官に対して怒ったんだ。
  • 非常階段を登っていくシーンで背景にドコモタワーが映ってた。塔はここでは見上げるものではなく登るものになる。
  • 「陽菜さん」から「陽菜」と呼び捨てになる。
  • 空を落ちていくシーンで「二人の小ささ」を強調しているのが印象的だった。。
  • 途中で二人の周りをカメラがグルグルまわるシーン、明らかに日本ではない光景に一瞬なってた気がするけど気のせいなのかな。
  • 卒業式の黒板に「神津島」って書いてあった
  • 船の上で「陽菜になんて声をかけたらいいかわからない」と言ってる。 →ラストの「大丈夫」につながる。
  • 須賀の「世界なんてもともと狂ってる」という台詞は少し浮いてるようにも思う。あと、序盤は帆高を「少年」と呼んでいるが、最終盤では「青年」と呼んでいる。
  • 田端駅の坂を登っていくシーンが本当に白眉。カメラが徐々に上に移動していくにつれ、帆高の影から陽菜が見えていくところ。
    • あのシーン、雨が降ってるにもかかわらず空が明るくなってるんですよ。晴れに一瞬錯覚する。
  • 陽菜の祈りは作中でずっと「誰かのために」祈っていたんだけど、ここでは帆高が言ったように「自分のために」祈っているんです。そして、それが何に対する祈りなのか、という話。
  • このシーンで帆高は「自分は(世界ではなく)彼女を選んだ」と確信して涙を流すのが巧いんだよ。その確信は、「ぼくたちは大丈夫」というラストの台詞につながる。中盤ではある種の気休めだった陽菜の「わたしたちは大丈夫」が、ここでは帆高による確信としての言葉になっている。
    • 世界が決定的に変わってしまったとしても、その責任を必ずしも二人が追う必要はないし二人は幸せになっていいということに途方もない幸福と救いと可能性と未来を感じるんですよ。
      • 「大丈夫」の最後、「君を大丈夫にしたいんじゃない 君にとっての 「大丈夫」になりたい」という部分もやっぱりめっちゃ好きなんですよ。そこにある圧倒的エゴと傲慢さがさ…。 帆高は「何かに祈る陽菜」の姿を見て、「ぼくたちは大丈夫」と確信する。ある種の傲慢な確信、相手の気持ちがわからなくても確信をいだく、そのことそのものを愛と呼ぶのではないか。